いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記

はてなダイアリーから移行しました。古い記事ばかりになりましたが、ボチボチ更新していこうと思います。

大阪の民族教育を支える教職員の生活が脅かされている ― 私学共済への保険金滞納

期限つきの記事であったため、記録と言う意味で短く記す。

私ももうすぐ、朝鮮学校生徒の保護者になるが、大阪の朝鮮学校は橋下一派の差別政策によって、補助金の不支給が続いており、一部のカンパ等を除けば保護者の月謝しか資源が無いという状態が続いている。
以前、他のエントリで書いた(http://d.hatena.ne.jp/dattarakinchan/20130820/1376958063)ように、公の支出の約1割は教育関連に費やされ、日本にあるほぼすべての学校は公の負担あるいは公的扶助を受けながら運営されている。しかし大阪における朝鮮学校の学びは、(都合のよい)『民意』の寵児とも言える橋下に、極めて政治的な理由によって、「全く価値が無い」と言われているに等しいわけだが、その策を取り囲む『民意』も、相変わらず鈍い。
朝鮮学校に子を送る親としてもいまの状態には暗澹たる思いを禁じ得ないが、学び舎を最前線で支えてきた当事者たる教職員の疲弊感は極限に達している。
元々支給額自体が恐ろしく少ないうえに、補助金の全面カットによって2、3カ月程度の給料の遅配が当たり前に起こっている。単身者でも厳しいのに、世帯持ちは本当に生活が成り立たない。そして、大阪では心配されていた事態が起こっている。




大阪朝鮮学園:社会保険料滞納、2億円
毎日新聞 2015年02月11日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20150211ddm012040095000c.html

(引用開始)

大阪府内の朝鮮学校10校を運営する学校法人、大阪朝鮮学園日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)に支払う社会保険料を約2億円滞納していることが10日、大阪府への取材で分かった。
保険料は私立学校の教職員の健康保険や年金などを賄うためのもの。同学園も私立学校教職員共済法で加入が義務付けられているが、府私学・大学課によると、近年、定められた保険料の一部しか支払っていないという。同学園は府に対し、滞納の事実を認めた上で、「事業団とつくった計画に基づき、納付を続けている」などと説明しているという。
府は同学園に毎年約2億円の補助金を交付していたが、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)などとのつながりを否定できないという理由で、2011年度に中止した。学園側はこの決定を不服として12年9月、大阪地裁に提訴。訴訟の中で「補助金不交付によって、私学事業団の掛け金が払えず滞納している」と主張している。

(引用ここまで)



教職員なくして学校は存続し得ないし、教職員の世代間の連続が保たれてはじめて、教授ノウハウの伝承が成り立つ。世帯持ちの世代が生活のために教師を辞め、教職員が親元から通う独身者のみで構成される、などというのは全く笑えない話なのだが、実際は、本当にそれが目に見えるところまで来てしまっている。
現在行われている、補助金回復の訴訟、及び「高校無償化法」適用の訴訟が、多くの理解ある人々に支えられ、成果を挙げられるようにしなければならない。
私も保護者になるにあたって、公立に送るよりも遥かに多くの金銭的肉体的負担をしなければならない、という一種の『覚悟』を決めているわけだが、家計にも限界があるのは当然なわけで、早くこの不正常な状態が解消されなければならない、と改めて思う。

(参考)朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪のホームページ
http://www.renrakukai-o.net/