いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記

はてなダイアリーから移行しました。古い記事ばかりになりましたが、ボチボチ更新していこうと思います。

北朝鮮からの手土産を全部没収して日本政府はどうしたいのだ?

あぁ、日本政府は本当にアホだ。救いようが無い。「朝鮮憎し」を叫ぶ快楽の陶酔から目を覚ませずにいる。

私は何度も、日本の対朝鮮政策の目的不明感を問題にしてきた。何でもかんでも「圧力」の通り一辺倒な政策で、結局どうしたいのだ?
たぶん日本政府は、『ミサイル』は飛ばしてほしくないんだろうし、拉致被害者は帰ってきてほしいんだろう。外面(そとづら)的には。しかし実際の政策はそれとは真逆の効果しか持たないだろう愚策ばかりだ。これはどういうことだろう?日本政府は朝鮮との関係改善、その先の東アジアの平和、経済融和、拉致被害者の帰国なんぞ、点も望んでいないのではないか、と私は昔から疑っているが、最近それが疑念から確信に変わりつつある。
日本政府にとって、朝鮮と関係改善するより、朝鮮を仮想敵国、というか停戦中の交戦相手程度のポジショニングに据えて、『チョーセン』に少しでも関係がカスりそうなものは全て悪魔化し、徹底的に責め、下げ、「あの国なら何をしでかすかわからない」という暴走的な妄想でその危険性を『発見』し、社会の憎悪を煽ったほうがいい。そのほうが日本にとって『チョーセン』は利用価値がある、そう思っているようにしか見えない。

「日本が危ない」「日本よひとつになろう」とかいうビビるほど安い台詞のもと、まるで朝鮮と戦争でもしているのではないかという空気感、官製の愛国心強制と危機意識で国民挙げての熱狂が醸成されているのが、ここ数日間の動きであるが、これら一連の所業は、日本政府が朝鮮をダシに、愛国心を養う教育の必要性や防衛予算の拡充を引き出そうとしているかのように見えるし、日本国内の朝鮮関連機関への差別政策の正当性を補完したいためにも見える。あるいは防衛訓練をしたいが平時には予算も出ないし反対論も出るから『ミサイル』発射を最大限活用してそれを行おうとしているようにも見える。

たまたま見た『とくダネ』の笠井とかいうアナウンサーが、「北朝鮮のミサイルが発射されたらすぐに緊急無線で警告音が鳴りますから、屋外にいる人はすぐに屋内に入ってください。北朝鮮のミサイルは性能が低いので何が飛んでくるか分からない」と泡を飛ばしなから叫び、PAC3が展開されたことを不安視し「いまから戦争が起きるみたいで怖い」と心情を吐露する沖縄住民の声をクローズアップしていた。危機感を煽りたいだけ煽って視聴率を取りたいのかどうかはさておき、このような破天荒な放送を可能にしているのは、官製のこのような空気感に他ならない。沖縄に世界一危険だと言われる基地があり、周辺住民が四六時中現実的な危機に晒されているのに、それを差し置いて、既に二回のロケット打ち上げを成功させ、世界中に招待状を送ってその技術力を誇示せんとする朝鮮のロケットの部品が、わざわざ日本の国土に落ちてくる天文学的な低確率を云々し、破壊措置命令がどうPAC3がどうと国会で騒いでいるのは、アホが過ぎる。妄想というコトバでは可愛すぎる。

そして現在このような朝鮮悪魔化の所業が究極に高まっているのが、日本と朝鮮との経済交流の禁止政策、すなわち朝鮮からの物品の輸出入の禁止である。以下記事を引用する。



対朝鮮輸入禁止強化、日本市民のおみやげまで
朝鮮新報 2012-04-02 17:07:42
http://jp.korea-np.co.jp/article.php?action=detail&pid=53192

(引用開始)

事実上の押収、時代に逆行する暴挙

日本の税関当局は、朝鮮からの物品の持ち込みを徹底して制限している。その対象は在日朝鮮人だけでなく、日本人にまで及んでおり、有無を言わせぬ当局の非人道的な対応と、それを指示する日本政府の朝鮮敵視政策に、世界各地から非難の声が挙がっている。

世界各地から非難の声

昨年11月、平壌で開催されたサッカーW杯予選朝鮮−日本戦を観戦して日本に戻った朝鮮学校生徒たちは、現地で朝鮮代表選手からもらったサイン入りのボールを押収されそうになった。そのボールが日本から持参したものだったため事なきを得たが、朝鮮側が日本人サポーターの入国と観戦で多大な便宜を図ったのとは正反対の卑劣な対応だった。
これを機に、日用品に至るあらゆる物品の持ち込みが厳しく制限されるようになった。

また、金正日総書記の葬儀に参列するために平壌に向かった総連の弔意団に対する監視、規制も厳しかった。総連幹部の訪朝をあからさまに禁じるなど、悲しみにくれる在日同胞と活動家たちの心を踏みにじった。
人の往来に対する監視、妨害はますます強化されている。朝鮮訪問を主に扱う民間旅行社に対する強制捜索もこの流れの中で強行されたと言える。
そして2月、訪朝した日本人のチュチェ思想研究者たちは、帰国の際に羽田空港関西空港で狙い撃ちのようにピンポイントで荷物を検査され、朝鮮で購入した物品をすべて押収された。その内訳は研究に必要な書籍やドラマのDVD、人参茶、化粧品、菓子、観光パンフレットなどだった。平壌で撮影した映像を納めたDVDまで押収された。
しかも、荷物検査と拙劣な対応によって飛行機の乗り換えに間に合わず、空港で一夜を過ごさざるを得なかった人もいたが、税関当局はそれを放置した。
日本政府は2006年10月、朝鮮の核実験を口実に、「北朝鮮を原産地または船積地域とするすべての貨物の輸入」を禁止し、それを順次継続、強化してきた。その根拠となる「外国為替及び外国貿易法」は、政府が政令などによって自由裁量で規制するあいまいなものだ。つまり、それまでは持ち帰ることができた物が次の日には禁じられるという具合に、政府高官の胸先三寸で決まるということなのだ。
キムジョンイル著作研究会全国連絡協議会は、代表世話人の連名で枝野幸男経済産業大臣宛に抗議文を送った。
抗議文は「これまでも日本政府は一貫して朝鮮敵視政策をとってきたが、個人が消費する日用品を押収したことはなかった。今回あえてそのような暴挙にでたのは、チュチェ思想を研究普及しようとする研究者に対する露骨な弾圧であり、世界の自主的な流れに逆行する愚かな行為だ」と指摘。押収品の返還、謝罪と賠償を求めるとともに、日本政府がアジアの平和実現のため、朝鮮に対する制裁を撤回し、朝鮮との国交正常化に努めるよう求めた。
朝鮮社会科学者協会は、「今回の押収騒動は日々牽引力を発揮している先進的な思想を研究し普及しようとする進歩的な人士に対する露骨な弾圧であり、時代錯誤的な妄動だ。正義にあふれる思想と理念に共感し慕う人々の自主的な志向はいかなる強権を持ってしても遮ることはできない」と指摘した。
中国、ネパール、英国、バングラディッシュチェコルーマニア、フランス、イタリア、ギニアコンゴエチオピア、ドイツ、オーストリアパキスタン、ナイジェリア、メキシコ、フィンランドなど世界各地のチュチェ思想研究団体、個人も日本政府の暴挙に強く抗議している。

進歩人士に対する弾圧

2月に羽田空港関西空港で物品を押収された日本市民は、日本政府に激しい怒りの声を挙げている。
実際に朝鮮から帰国した際、おみやげや自分の学習用に買った書籍を押収されたある日本市民は、税関職員の有無を言わせぬ態度に腹が立ったという。職員らは詳細について知らない様子で、ただ単に持参品を放棄するよう促されたという。朝鮮で買ってきた物を放棄しない場合は入国を認めないといった対応だったという。そうして押収品の処分に同意せざるを得なかったのだという。
2月に訪朝したチュチェ思想研究団体のメンバーたちは平壌で、金正日総書記を失った悲しみを乗り越え、新しい指導者の下で一致団結して国家建設に励む朝鮮人民の姿を目の当たりしてきた。
「高層アパートが立ち並び、街はきれいに清掃され、人々の装いもカラフルになっていた。国家建設に励む人々の活気や希望に感激した」「総書記と一緒に2012年4月15日を迎えたかったという朝鮮人民の熱い気持ちを実感した。みんな総書記について聞くと目頭を熱くしていた。それだけ総書記が人民に慕われていたということだ」
しかし、平壌で得た感動は日本に戻るや否や打ち砕かれた。
別の日本市民はこう語った。
「人間中心の政治が施されている朝鮮から帰ってきて、日本でひどい仕打ちを受けたので、余計に腹立たしい。日本で在日朝鮮人に対する差別や弾圧がひどくなっているが、朝鮮人の怒りが少しは分かった気がする」
さらに別の日本市民は、「日本政府はこんなことをしても逆効果だということを知るべきだ。われわれも物を押収されたことで、さらにチュチェ思想について深く学ぼうと決意を固めた。政府は敵対視政策をやめ、朝鮮と友好関係を築くべきだ」と語った。


(引用ここまで)



朝鮮憎しに熱狂した頭を冷やし1分程度冷静に考えてみれば分かるが、日本政府が朝鮮に対する敵愾心を煽るだけ煽って、朝鮮との人的物的繋がりをことごとく断って、そこから朝鮮政府が「すいませんでした、ロケット飛ばすのもやめますし、拉致被害者も帰します、もうしませんから仲良くしてくださーい」となるか?ならない。なる訳が無い。果てしなく逆の効果のみが与えられる。アホでも分かる。
この記事のように、日本政府が明らかに個人が消費して終わるような物品ひとつひとつに難癖をつけ、放棄しなければ入国させないといった馬鹿馬鹿しい強硬な態度に出たのも、その物品を取り締まることによる経済制裁云々ではなく、朝鮮との交流という芽を徹底的に摘む、朝鮮憎しから来る態度であることは明らかだ。
しかし、日本政府のそのような態度が、在日朝鮮人の民族心や我々の立場に理解を示す人々の闘争心をメラメラと燃やす効果はあっても、その人たちの朝鮮との親和性を緩め、交流を断つような行動に繋がっていく効果を持つか?持つわけがない。日本政府のこのような政策は、逆に日本の節操の無さ度量の浅さに幻滅する人が増えるだけだ。

この数日間の朝鮮にまつわる日本の動きは、朝鮮政府の政策の是非云々以上に、日本政府の政策の不合理、時代錯誤感をクローズアップさせているようにしか思えてならない。