いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記

はてなダイアリーから移行しました。古い記事ばかりになりましたが、ボチボチ更新していこうと思います。

何度でも言う、朝鮮学校の生徒に『竹島』は関係ない!子供たちに手を出すな!

ここ数日間、『竹島』に絡んだ日韓両国の争いが過激さを増している。まさに売り言葉に買い言葉。一向に収まる気配を見せない。両国とも戦闘モード突入、引くに引けない状況のようだ。これはもう、日本が言うように国際司法裁判所に持ち込むか、第三国に間に入ってもらうか、いずれにしても意地の張り合いを収めるに解決の選択肢は余り多くなさそうだ。私が在日朝鮮人の立場で何か言うとすれば、あとに禍根が残らないよう、解決を急がず、冷静に、そしてどこまでも平穏にやってほしいと願うのみだ。

私は、このように日本と朝鮮半島との緊張状態が醸成されたときに、真っ先に思いつくのが朝鮮学校に通う学生たちの安全だ。

過去何十年も、そして現在も、朝鮮学校の生徒たちは朝鮮半島情勢に常に翻弄される。
つい最近も、例の『ミサイル』発射騒ぎがあったときに、神奈川中高級学校の生徒が、通学途上に殴られたり蹴られたりした。
過去にも、拉致事件で、大韓航空機事件で、パチンコ疑惑で、と、ことあるたびに標的になり、暴行や暴言を浴び、好奇や侮蔑の目に晒されてきた。チマ・チョゴリが切られ、傘や杖で小突かれ、その度に朝鮮学校の生徒たちは、その幼い心に拭い去れぬ傷を負った。
彼らは次第にチマ・チョゴリの制服で登下校ができなくなり、ブラウスとスカートで登校して授業前にチマ・チョゴリに着替えることを余儀なくされ、朝鮮学校の生徒であるとバレないようにジャージに縫われたゼッケンを外し、電車内では朝鮮語を話さないようにし、なるべく集団で登下校をし、保護者は通学路を輪番で守ったり、と自己防衛をせざるを得なくなる。

このように、朝鮮学校の生徒たちは何度も何度も狙われているのに、日本社会ではこの愚が問題にすらならない。朝鮮を悪魔化する過程で朝鮮学校の生徒への差別政策、そして暴行暴言までもが免罪されている。これは普通にあるべき感覚が劣化していると言っていい状況だと思う。(ちなみにチャンネル桜に至っては『チマ・チョゴリ事件』を朝鮮総連の捏造・工作活動扱いにするまで劣化が進んでいる)

私は当ブログで何度も言及したし、今回も飽きずに何度も言うのだが、
日本と韓国、政府間のいさかいの解決のためにやるべきことは、相互の政治家が良心に基づき冷静に議論を積み重ねることである。この点で双方に、特に韓国が国内情勢を気にする余り冷静さと儀礼を欠いていることは、私もとても残念である。
しかし、ただ単に朝鮮嫌い外国嫌いのレイシストたちが、人々のあいだにこのいさかいの構図をわざわざ持ち込み、冷静に議論するならまだしも、互いの立場を良いだ悪いだと罵り合ったり、互いの人格を否定して回ったりなどは、(前項にも述べたが)安いナショナリズムに乗せられた、甚だ痛々しい姿だと言わざるを得ない。

もちろん、朝鮮学校の生徒、子供たちに、両国間のいさかいの原因がある訳がない。何の関係もない。知ったこっちゃない。朝鮮学校の生徒がどのような意見を持とうが、語ろうが、何を学ぼうが、このいさかいがどうにかなる訳がない。
それなのに、安いナショナリズムを煽られ、勝手に怒り出した愚かな者たちが、実力行使で馬鹿げた正義感を振りかざそうとする。しかも卑怯なことに最も弱い立場である朝鮮学校の子供たちに、である。
このような愚か者以外なら分かる話だが、子供たちにそのような愚かな攻撃を仕掛けたところで、問題は全く解決しないばかりか、そのいさかいに新たな火種を撒き散らすことにもなりかねない。
この社会に集う愚か者以外の大人が、朝鮮半島情勢に乗じて、たび重なり朝鮮学校の生徒たちが狙われているという悲しい現実を共有してほしい。良識と慈愛の眼差しで、子供たちを守ってほしい。国同士のいさかいは、それに携わる立場の大人同士で解決すればいい。

愚か者よ、レイシストたちよ、子供たちに手を出すな!



【付記】
朝鮮学校の生徒を暴力から守る『オリニチキミ』という取り組みが、関西の在日同胞のなかで勝手連的に興っている。過去の私のエントリーで紹介させていただいているので、ともにご覧いただきたい。

朝鮮学校に通う子供たちを暴力や暴言から守ろう − 『オリニチキミ』
http://d.hatena.ne.jp/dattarakinchan/20111223/1324650086

朝鮮学校に通う生徒たちを暴力や暴言から守る『オリニチキミ』の趣旨に賛同する方へ — チラシの掲載
http://d.hatena.ne.jp/dattarakinchan/20111231/1325330256