いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記

はてなダイアリーから移行しました。古い記事ばかりになりましたが、ボチボチ更新していこうと思います。

安いナショナリズムに乗せられると、本当にろくなことがない。

ここ数週間の動きについて、思うことを記しておきたい。

・韓国の大統領が、地を這うような支持率で任期もいい加減終わりつつあるのに、最後っ屁なのかささやかな人気取りなのか、光復節のタイミングに合わせて独島(竹島)にわざわざ渡る安い芸を演じた。
・これまた韓国の大統領が、「日本の天皇が韓国に来たいなら独立運動で亡くなった方たちに心から謝罪しなさい」「何カ月悩んで『痛惜の念』だとか、こんな単語一つなら、来る必要はない」などと、(日本で畏敬の対象になっていることを知らないはずはない)天皇をダシにして、子供じみた下品な喧嘩を売った。
・オリンピックのサッカー男子日韓戦の、真剣勝負の清々しい戦いに勝利を収めた韓国選手に、「独島は我が地」という、スポーツに何しに持ち込んだのか全然理解できないプラカードを掲げて悦に入る馬鹿が出現した。

共通するのは、単細胞で独善的なナショナリズムだ。見事なまでに煽り、そして煽られている。

私は愛国心とか愛族心とか愛郷心とかを持つこと自体を否定しないし、私もかれこれ三十云年、同化意識根強い日本で朝鮮人の名前とマインドを維持して生きているわけだから、自分が朝鮮人であるという自覚と、それを維持するという意志は人並みの在日朝鮮人以上には持っているほうなのだと思う。しかし他者のそれをいたずらに隆起させたり、他者との対立を煽ったり、貶めたり、嘲笑ったりというのは、おのれがそれに定める価値を大きく毀損することに他ならないので、そんな愚には陥らないよう特に気を付けている。他者を打ち負かさなければ成立しない愛情など愚でしかない。
私が朝鮮人であるという自覚を堅持して生きるのは、別に朝鮮民族が他の民族より秀でているからとか、大和民族を蔑んでいるからとか、日本人に染まりたくないからとか、では断じてない。私の祖先が、朝鮮人として生きるということを選択しそれを守ってきた、そこに私が生を受け、ルーツを尊び生きるという価値を学び、祖先と同じくそれに共鳴するから、そのように生きているのである。朝鮮人として生まれたから、朝鮮人として生きるのである。あくまで自己で完結する心の有り様であり、もしそれに共感を覚えてもらえるならば有り難くもあるが、他者にそれを強いる気など無いし、そこに価値を持たぬ者を蔑んだりする気もない。

しかし、どこの国の政治家が発する言葉も、殊更におのれと同一のタグが付いていることを強調して連帯や共感を取り付けようとし、その副作用として、我と彼とを単純分離し、違いや優劣や貴賤を強調する論調で溢れている。時間空間問わず、為政者にとって愚者を扇動し同意を取り付けることが最も手っ取り早く支持を固める手段であり、愚者にとっても互いに熱狂し合うには最も分かりやすい。昨今の韓国の為政者がそうだし、ここ数年の大阪や東京の厚かましい政治家がそうだ。非常に分かりやすくこの図式にはまる。
このような論調に遭遇したら、我々は、踊らされ愚者に堕ちぬよう、本当に気を付けなければならない。気づかぬうちに安いナショナリズムに乗せられ、屑のような価値観を共有させられ、他者を峻別し辱しめる片棒を担がされることになる。他者と比較してでなければおのれを誇れない貧しい心の有り様は、必然的におのれより劣った者を見つけ出し攻撃するという行動様式に陥る。他者を貶める過程は、必然的に他者を下げてでなければおのれが上がれないという、絶対的なおのれの低さを取り込むことになる。

為政者がナショナリズムの扇動をはじめ、人々の中に対立やいさかいを持ち込もうとしても、我々は、おのれに取り付けられた『国』や『民族』のタグとは関係なく、関わる人間同士、その人種や価値観を踏まえながら、存在や価値を認め合えるようでありたいと考えるし、そうあるべきだとも思う。

私個人の話をすれば、私のプライベートの付き合いは在日と日本人の混合だし、仕事場は日本人の比率が圧倒的に多いが在日、韓国人中国人は言うに及ばず台湾人もいる。よりによって日常的に、それぞれが属する国の為政者とそれに乗った愚者が互いに下らないいさかいを繰り広げてはいるが、それを機に仲違いすることなどある訳が無い。日本人だから在日だからと付き合っているのではない、仕事や地域や趣味嗜好を共通項に集っている仲間に、為政者同士のいさかいなど関係が無いからだ。為政者の仲違いと同じタグの組み合わせだからと、一緒に仲違いに付き合う必要などある訳が無い。国同士の政治の貧しさを埋めるために民間で代理戦争をする必要も無い。まったく価値が無い。
人種や価値観が問題にならない程度の多面的複層的な人間関係が存在しないから、安いナショナリズムや国同士の関係性を問題にするし、少しのきっかけでこれが問題になってしまう。政治家にはろくな者がいないので、多分これからもくだらないいさかいを続けていくだろうが、そんなものとは関係無しに、民間同士仲良くやれれば、国同士のつまらない問題など取るに足らなくなる。
そのほうがお互い幸せではないかと思うが、いかがだろうか?

この稿の結びに、このような私の思いとは真逆を行く、官制の安いナショナリズムに見事に乗ってしまった人間の下品な文章をご紹介する。よりによって産経の電子版に堂々と掲載されている。



日韓に、もはや友好はない
宮嶋茂樹 / MSN産経ニュース  2012.8.16 08:03
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120816/plc12081608030011-n1.htm

(引用開始)

やってくれよんのう、韓国人は。大阪生まれの大統領まで竹島に不法上陸させよるとは。それも「終戦の日」(15日)に合わせてである。これで不法・実効支配の完了や。もはや日韓2国間での外交交渉では絶対に竹島は取り戻せんようになった。
韓国人に比べて、わが国はどないや。尖閣にいまだ自衛官1人常駐させることさえためらうヘタレっぷり。そりゃあ、韓国人にも中国人にもなめられるわ。
やっと分かったやろ、北も南も朝鮮民族はしょせん敵やということが、やっと実感したか。武力を背景とせん外交がいかに無力かということが。
それでも韓流スターをチヤホヤするか、整形美女に鼻の下のばすのか。こっちがいくら友好を求めても、向こうは裏切り続けてきたんや。いまだにあの半島じゃ、日本車に高い関税をかけ、日本語の歌も地上波のテレビでは禁止されとるくらいや。
そろそろ日本もハラくくるときや。韓国の男は完全徴兵制や。ベトナム戦争でも「悪名」をとどろかせた陸軍大国や。しかし、海軍力に関してはお寒い限り。海上自衛隊護衛艦の15隻もあれば竹島海上封鎖できるはずや。そうなったら向こうも黙ってないやろけど、日本も覚悟を決めるときや。
ワシは何も、周辺国の日本への侵略を非難するだけやない。
日本がヘタレやから侵略を許してしもうたのである。断固たる姿勢を見せんかったからなめられ続けるのである。
外交とはそういうもんやろ。向こうが昨年6月、東日本大震災の弱みにつけ込み、竹島上空で大韓航空がメディアツアーをし、実効支配をアピールしたのも、弱肉強食の外交の世界じゃ、絶好の機会と見てとったからや。
今度は、こっちが向こうの嫌がることをやる番である。日韓にもはや友好はない。昨日の友は今日の敵。歴史が示す通りである。
今日から日本で許されるのは、国産の焼き肉と国産のキムチだけである。(カメラマン)

(引用ここまで)