いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記

はてなダイアリーから移行しました。古い記事ばかりになりましたが、ボチボチ更新していこうと思います。

片山さつき、自分を批判したのは「朝鮮学校の弁護士」だとツイート … もう限界じゃね?

先日も書いたが、生活保護制度をめぐり、制度改革や運用方法などといった本質の問題ではなく、想像通り重箱の隅をほじくり返して弱者をやり玉に挙げ、弱者にそれを叩かそうとする構図が広まっている。芸人個人のプライベートを晒しまくって嬉々として「政治だ」とうそぶく者の貧しさったるや無い。おぞましいことこの上ない。
これに関連して、ネトウヨのみの絶大な人気を得ているものの、既に政治家としての生命は臨終寸前の片山さつきが、またもや見当違いなことを吐いているようだ。面白いので記録しておく。



「ミヤネ屋、吉本擁護に偏りすぎ」 片山さつきツイートが物議 
J-CASTニュース 2012/6/ 8 20:38
http://www.j-cast.com/2012/06/08135081.html

(引用開始)

読売テレビのワイドショー「ミヤネ屋」は、吉本興業寄りに偏向している——。吉本芸人の母親の生活保護受給を巡って、自民党片山さつき参院議員がツイッターでこう批判し、物議を醸している。
お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)が2012年5月25日に涙の会見をした後、ネット上では、ミヤネ屋への風当たりが強かった。

出演弁護士も吉本擁護に加担したと指摘

司会の宮根誠司さん(49)を始め出演者らが、準一さんらは不正受給ではないと連呼し、返す刀で片山さつき氏らを政治に利用しているなどと批判したからだ。2ちゃんねるでは、ミヤネ屋の制作会社に吉本興業の資本が半分ほども入っているとして、それが吉本寄りに偏っている理由だとのスレッドまで立つ騒ぎになった。
さらに、5月30日に出演した弁護士が「不正受給ではない」と繰り返したことについて、ミヤネ屋はわざわざ吉本寄りになる人選をしたのではないかとの憶測まで出た。この弁護士は、かつて朝鮮学校の訴訟代理人を務めたことがあり、生活保護を厳格化されると困る在日朝鮮人らの立場に立って物を言ってもらえると考えたのではないかということだ。
こうした騒ぎは、2ちゃんのまとめブログにも取り上げられ、片山氏は6月6日、その1つを紹介して、ツイッターでこうつぶやいた。
「ミヤネ屋で河本梶原を必死に擁護の弁護士が朝鮮学校の弁護士!」

つまり、ミヤネ屋は、吉本寄りの発言が期待できる弁護士をわざわざ番組に呼んだのではないかということだ。いつもの弁護士コメンテーターではないとする2ちゃんの書き込みも紹介している。
そのうえで、片山氏は、「面白い!BPOでガンガンやりましょう!」と呼びかけた。放送倫理・番組向上機構BPO)で、偏向報道だとして取り上げてもらおうということらしい。

制作会社に吉本資本半分は誤解?
さらに、片山さつき氏は、2012年6月7日のツイートで、ミヤネ屋の制作会社に吉本の資本が入っているとする2ちゃんの書き込みを受けたような発言をした。「当事者である会社の資本が入っている制作会社の作った番組ミヤネ屋、スッキリ他は中立性を持たず、そのことを表示もせずに、一般的な意見を装って世論誘導をしようとした」と訴えたのだ。
そこで、2ちゃんでミヤネ屋の制作会社と名指しされたワイズビジョンに取材すると、総務担当者が「番組を制作しているというのは、事実無根です」と困惑げに話した。あくまで読売テレビが制作する番組で、数十人いる番組スタッフのうち、2人を派遣しているだけだという。
出演した弁護士に在日朝鮮人生活保護問題に関わっているのかどうかなどを取材しようとしたが、外出中などとして話を聞けなかった。
BPOの広報担当者は、片山氏からミヤネ屋の話を聞いていないとし、発言については、「コメントする立場にはありません」と言っている。
片山氏の発言を巡っては、ツイッターで「生活保護 バンバン ガンガンやってください」などと励ます声も多い一方で、「客観性を欠いてます」「何が問題なんですか?」との疑問も出ている。片山氏が所属するスペクター・コミュニケーションズに取材すると、片山氏は多忙ですぐには対応できないとのことだった。
(引用ここまで)



突っ込みどころ満載である。箇条にて記す。

第一に、
マスコミの編集権に属する内容を、ろくなリサーチをかけずに偏向だなんだと騒ぐ所業を、こともあろうに国会議員がやっちゃう、この薄さ、軽々しさである。国会議員なんだから、批判された『内容』に対して堂々と記者会見なり開いて反論すればよろしい。それを『テレビ局』のせいにしたばかりか、マスコミに入り込んだ吉本資本の手先のせいにしちゃったのだから恐れ入る。
放送である以上、こういう結論に落としたい、という編集意図があり、そのように映像を組み立て、そのような人間を呼びコメントさせるのである。つまりNHK含め完全なニュートラルなどあり得ないのである。
つい先日も私は、朝鮮の『ミサイル』発射によって日本の陸地に実害が及ぶ可能性云々を書き立てるマスコミの愚を書いたが、この騒動の際、マスコミはわざわざそんな耳垢以下の可能性に言及してもらえる御用学者を探し歩いている。別にこんなことは今に始まったことではない。朝鮮関連はいつもこうだから、ミヤネ屋が少々芸人寄りだったところで驚くほうが世間知らずだ、というところだろう。http://blogos.com/article/36320/
大事なことは、数多あるマスコミの言論から、良質なもの(耳触りのいいものではない)を取捨選択し吸収する享受者の知恵が求められることであって、マスコミの垂れ流しを鵜呑みにすることなく、学習の蓄積で作り上げたフィルターで判断できる、賢明な読者・視聴者が民主主義を育てるということである。
そのような情報享受者の姿勢の重要性が社会一般で説かれ、教育されて来なかったことが、今日のマスコミ言論の貧しさ、およびネット言論のおぞましさ、醜悪さ、そして日本の民主主義の未成熟さに繋がっているのである。さつきちゃんのような国会議員としては甚だ倒錯した物言いが成立するのも、このような背景が成せる技に他ならないのだ。
もっとも、朝鮮政府・朝鮮総連朝鮮学校を悪魔化して視聴率や購読率を稼ぐのは、ここ何十年もおなじみの光景ではないか?結果コワーいチョーセンは日本における格好の優良コンテンツになり、このようにさつきちゃんも恩恵を受けているではないか?それが自分に鉾が向いた瞬間「偏向だ」などとは。どの口が言うのだ?頭が悪すぎる。

第二に、
出演した弁護士が、かつて大阪朝鮮高級学校の運動場明渡し裁判の朝鮮学校弁護団の一員に名を連ねた弁護士であることが心底気に入らないらしい。弁護士は「正義の味方」なのに「朝鮮学校の味方」なのが気に入らない、ということか?
弁護士の発言内容に真正面から切り込んで批判すればいいだけの話なのに、その発言者の思想や属性を云々し、自分が大嫌いな朝鮮学校の弁護士だと騒いでいる。反日朝鮮学校の肩を持つ弁護士をわざわざ呼ぶテレビ局はけしからん、ということらしい。
これは恐れ入る。ネット上で、上っ面を見て「反日」「朝鮮人」「ゴキブリ」とレッテルを貼って嫌悪感剥き出しに思考停止し、本質に切り込もうとしないネトウヨと思考回路が同質だ。
さつきちゃんは頭が悪そうなので代わりに言っておくが、弁護士は「正義の味方」ではない。「依頼者の味方」である。自分が立つ側に正義があると訴訟で認められるように弁論を立てるのが弁護士の仕事である。正義がどちらにあるのかは、法律の解釈や行間を法理で読み解きながら裁判所が決めるのである。殺人事件の被告人の弁護士が、ある種荒唐無稽な弁論を繰り広げても、それが依頼者の味方を全うする弁護士の職務であり、正当な業務遂行である。そんなものは少し勉強すれば中学生でも理解できる。
自分と立場を異にするからといって、その思想が反日だなんだとレッテル貼りに腐心するとはいかにもレベルが低いが、それを国会議員が、弁護士個人をあげつらう文面で行うのだからタチが悪い。その発言自体が印象操作ではなくて何なのか?反日朝鮮学校を擁護するアヤシイ弁護士の発言だから信用ならないと、悪魔化されたチョーセンのダーティーなイメージと同一化させるのだから。こんな思考回路で攻撃された芸人も弁護士もたまったものではない。

蛇足の話。
ネット情報によると、どうやらさつきちゃんの情報源は、「2ちゃんねるまとめサイト」の「ガラパゴス速報」らしい。確かに彼女の発言はネット情報を取りだした向きのある内容のペラッペラなものが多い(例のチェジュ思想騒動が記憶に新しい)。
国会議員なら質問主意書とか、国会図書館をつかってのリサーチとか、いくらでもその特権で裏を取ったりできそうなものだが。先日もある芸人の発言が「旦那の会社を潰す」と短絡したのをネットで掴み、それを公共の電波、それもネットテレビではなく地上波で「脅迫だ」と涙ながら訴えていた。「ネットde真実」を地で行っている。これは全然だめだ。
ネトウヨのアイドルなら適任だが、国会議員はどう考えても適任ではない。